イングリッシュ・ペリーの話
ペリーといっても、あまり日本ではなじみがないが、英国ではサイダーと同様にパブで飲まれている、洋ナシのお酒だ。
一昨年から商品化して販売しているが、製造量が少ないためすぐに完売している人気の商品。今回は、ちょっとした苦労話。
洋ナシの搾汁は、追熟前にやってしまう。
というのも、追熟してしまうと生食にはちょうどいい「ねっとり」とした上質の触感なのだが、搾汁するには柔らかすぎ、ということになる。砕くとペースト状になり、ろ過が困難になってしまうのだ。
昨年は、工場に入荷してからそれ程日がたたずに破砕したのだが、なぜか追熟してしまって、非常に難儀をした。
いったい、何があったのか?
製造チームは、疲弊しきっていたが、原因が一向にわからない。
社長の木村は言う
「あれ、破砕の時期が悪かったよな。アップルラガー用のリンゴとペリーの洋ナシの入荷がほぼ同時だったからな」
つまりこうだ。
リンゴは果実の熟成に必要な「エチレン」を発する。良く知られているのは堅いキウイとリンゴを一緒の袋に入れておくと、キウイが早く熟して甘くなる、というもの。
これが、数十トン単位で工場で起こった、と想像される。
リンゴのケースの近くに洋ナシのケースが置かれていたのだ。
今年は、時期がずれていたので洋ナシの破砕、搾汁が非常にスムーズだったらしい。
しかも今回は洋ナシの品種を変更。英国で使われる「バートレット」に変え、さらなる高みを目指す。
この話の続きは次回に。