筆者プロフィール

本名 高橋司、ベアレン創業メンバー。
ドイツの大学へ留学中にビールの魅力にハマり、国内地ビールメーカーでの経験を経て、現在に至る。

ヴァイツェンの香りについて(ツカサ的なミカタ)

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ヴァイツェンの香り、といえば代表的な表現として「バナナのような」というものがあります。

実際、バナナと比較して香りを嗅げばわかりますが、実はだいぶ異なっています。正確には熟したバナナ(黒い斑点が付き始めたくらいの熟具合)の香り、という感じです。

もう一つ、代表的な表現としては「クローヴのような」という少しスパイシーな香りも挙げられます。どちらも代表的な香りで、ヴァイツェンの味わいを成す大きな要素と言えますそれが故に、キャッチコピーでは大体同じような表現が見受けられるので、それ以外の香りを感じても上記の2つのパターンで表現してしまいがちです。

また、あまりヴァイツェンを飲んだことがない人が、「この香りがバナナ香かぁ」と実はそうでもないのに誤誘導されてしまう事もあるかと思います。ここで、私が個人的にどうしても捉えてしまう香りの一つに「酵母由来の未熟香」というのがあります。バターのような、と表現されるこの香りはジアセチルという成分から香るわけですが、ヴァイツェンの甘い香りに混ざると分かり難いのですが、一度強烈な臭いを嗅いでしまうとトラウマのようになってしまいます。

実際、テイスティングの訓練の際に、強烈なオフフレーバー(あってはいけない臭い)を嗅いで覚え、それを少しずつ薄めていく、という方法があります。この経験をしてしまうと、微量なフレーバーを感知してしまうようになり、敏感になることにより苦手意識が出てきてしまうようになってしまいます。

私自身、色々なヴァイツェンを飲んできた経験上、同様の(まさに苦い)経験をしてしまい、しばらく苦手意識が消えませんでした。

とりとめのない話になりましたが、何が言いたいかと言えば、色々な香りの要素が複雑に重なり合って味わいが形成されているので、初めてヴァイツェンを飲む方には「ほら!バナナでしょ!」というような誘導は、あまりしないほうが自由な香りの表現が出てくると思いますし、ヴァイツェンは、味わいの幅が広いので、色々と飲み比べることで全く新しい発見があるかもしれない、ということです。