筆者プロフィール

本名 高橋司、ベアレン創業メンバー。
ドイツの大学へ留学中にビールの魅力にハマり、国内地ビールメーカーでの経験を経て、現在に至る。

イングリッシュ・サイダーの話

 

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ベアレン醸造所 イングリッシュ・サイダー(果実酒)

(※ごめんなさい、Webショップでは発売がもう少し先になります。)

先日(10月18日)に、イングリッシュ・サイダー1stの発酵中のモノを試飲しました。

これは、11月2日にリリース予定の飲食店限定モノ。2週間前の状態はどういう状態なのか?どの程度甘いのか?と想像しながら試飲したのだが...。

既に全く甘くない!【超衝撃的】

飲む直前までリンゴのフレッシュな甘い香りが漂い、無濾過の為、少し蜂蜜のような香りも若干していたが、口に含むと全く甘さが感じられない。むしろ、アルコールが際立ち、薄っぺらさすら感じる状態でした。

このことを、マイスターの宮木に伝え話を聞くと、

「いやね、サイダーについてはそもそも酵母がワイン酵母を使っているんでね。発酵がはじまるのが遅いんだけど、一度発酵がスタートすると、発酵のスピードが非常に早い。これは酵母にとってリンゴの糖が食べやすく、一度発酵がはじまると、ほとんど最後まで一気に糖を食べきって(アルコール発酵)しまうんだよ。」

とのこと。しかし、ならばなぜその後2週間も熟成するのか?

「ツカサくん、これは逆だよ。発酵が終わっているからこそ熟成に時間をかけている。アルコールのとがった感じを柔らかくし、味わい全体を丸くし、一体感をつくる。今の味わいにはビールでいう『未熟臭』のようなものも加わっているからね。」

なるほど。

たしかに、高アルコールのビールにもあるが、アルコールの感じ熟成によってトゲトゲしさが控えめになってくると、別の味わいが顔を出すことがある。

イングリッシュ・サイダーの場合、保存料や香料などを加えていないので、自然な香り、未熟臭などの変化に時間を要するし、重要になってくるのだろう。

宮木が加えて協調したのは以下の事だ。

「はっきり言って、リンゴ果汁を搾汁した直後にすぐに発酵へ持っていく、なんてことは他では難しいだろう。もっと言うなら、加水していない。通常は濃縮還元を使用しているだろうが、それをしていない。これは、もっと推してもいいと思う。」

この手間を惜しまない姿勢。これこそがベアレンの真骨頂だと思う。今年もイングリッシュ・サイダーが飲めるかと思うと待ち遠しいです。